実験の概要
上司の「感謝」が部下の業務におけるストレス度にどのような影響を与えるかを、脳波によって測定する。上司1名と部下9名の職場を想定し、部下をA、B、Cの3グループ(3人ずつ)に分け、全員に同じ条件下(上司による監視)で同じ業務に集中してもらった。実験は2日間実施し、両日共に「パソコンのタイピング作業(1時間)」+「休憩(10分間)」を1セットとし、計3セットを行った。また1日目は3セットの終了後に、2日目は1セットの終了ごとに、上司の感謝を伝える機会として報告の時間を設けた。パソコン操作の慣れ不慣れでグループ全体の結果が左右されないように、作業内容は全員が同じ論文の書き写しとし、被験者(部下)1人1人について1日目と2日目の測定数値の変化を見る形で行った。上司への報告は、上司と1対1で行い、他のやりとりがどのような内容か全くわからないようにして実施した。
満倉靖恵先生のコメント(慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 教授)
今回の実験結果から、感謝を伝えた方が伝えないよりもストレスが低い状態で2日目の業務に取り組めることや、感謝の伝え方でもストレス度に違いが出ることがわかりました。文面で感謝を伝えられたCグループの1日目と2日目のストレス度の差(-9.5%)は、例えるなら「冬に温泉に入る前と5分程度入った後に生じるストレス度の差」程度といえるでしょう。
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