会社を退職するともらえる失業保険について、詳しく知っている方は少ないでしょう。
とくに初めて退職を経験した場合、これからどのように手続きを進めていけばよいのか迷う方もいます。
失業保険の条件は、会社都合退職の場合と自己都合退職の場合で異なります。
まずは自身の退職方法を把握し、失業保険の仕組みを理解しましょう。
当記事では失業保険制度の基本や退職方法別の違い、失業保険を受け取るまでの流れと注意点を幅広く解説します。
少しでもお金の心配を減らすため、ぜひ最後までチェックしてみてください。
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そもそも失業保険(雇用保険)とは
失業保険とは失業した際も安定した生活を送れるよう、手当を渡し援助をおこなう制度です。
正式名称は雇用保険ですが、失業時に利用されることが多いため広く失業保険と呼ばれています。
ここからは失業保険(雇用保険)について、次のポイントで詳しく解説します。
- 失業保険被保険者について
- 被保険者にならない方
- 金額は離職理由や年齢で決まる
- 失業保険と失業給付金の違い
失業保険がどういった制度なのかわからないとお悩みの方は、ぜひ最初にチェックしてみてください。
失業保険被保険者について
失業保険には、原則として働いている方すべてが加入しています。
本人が希望しているかどうかにかかわらず対象となるため、大半の方はすでに失業保険の被保険者です。
雇用形態を問わず、次の条件を満たしていれば失業保険の被保険者と言えます。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
2017年1月1日より、65歳以上の労働者についても失業保険の対象となりました。
ただし失業給付金が受け取れるのは、次の条件を満たした方です。
- 離職の日以前の2年間で被保険者期間が12か月以上ある
- 就職の意志がありハローワークで求職の申し込みをしている
失業保険は再就職を目指すための制度であるため、就職の意思がない方は給付金を受け取れません。
被保険者にならない方
1か月以上働いている方は、基本的に失業保険の被保険者です。しかし次の場合、被保険者にはなりません。
- 会社の代表取締役である
- 会社の役員である
- 協同組合の役員である
- 昼間に学生として勉強している
- 海外で現地採用されている
被保険者の条件は細かく、学生であっても休学中である場合、学校で出席日数が必要とされない場合は失業保険の対象です。
また会社で役員として働いていても、同時に会社の部長や支店長である場合は労働者的側面もあるため対象に含まれます。
自身が対象かどうかわからない場合は、近くのハローワーク(公共職業安定所)で確認しましょう。
金額は離職理由や年齢で決まる
失業保険に加入していると、失業時に給付金を受け取れます。
しかし給付金をもらえる期間は離職理由、被保険者期間によって変わります。
会社都合で離職した場合、被保険者期間が6か月以上であれば90日間、給付金の受け取りが可能です。
さらに被保険者期間を問わず、自己都合退職よりも長い期間手当を受け取れます。
また会社都合でも自己都合退職でも、雇用保険に長く入っている方の方が長く給付金を受け取れます。
そして手当の金額は、年齢によって異なります。
60歳未満の方の場合、1日にもらえる基本手当日額は離職した日直前の6か月間における賃金(ボーナスは除く)を180で割り、50~80%をかけた額です。
60~64歳であれば、最後にかける数値は45~80%です。
実際どのくらいの金額になるかは、もらっていた給与によっても異なります。
正確な手当の金額を知りたい場合、ハローワークで確認しましょう。
失業保険と失業給付金の違い
失業保険に加入している方が失業した場合、失業給付金がもらえます。
失業給付金は失業保険の制度のなかの一つだと考えておきましょう。
また失業給付金は失業手当と言われており、正式名称は基本手当です。
公的な資料をチェックする際は、言葉の意味についてあらためて確認しましょう。
失業保険における会社都合退職退職と自己都合退職の違い
失業保険において、会社の事情で退職したのか、自身で退職を選択したのかは非常に重要です。
一般的に言われている会社都合退職と自己都合退職の定義は、次のとおりです。
会社都合退職 | 自己都合退職 | |
---|---|---|
雇用保険における名称 | 特定受給資格者または特定理由離職者 | 一般受給資格者 |
意味 | ・会社の倒産や解雇で仕事を無くした・正当な理由があって仕事を辞めた | ・正当な理由がなく自身の意志で仕事を辞めた |
会社都合退職と自己都合退職で制度がどう異なるのか、失業保険制度の内容から次のポイントでチェックしましょう。
- 失業給付金の受給日
- 日数と基本手当の金額
- 支給条件
異なる点を理解し、自身の状況を見直しましょう。
失業給付金の受給日
会社都合退職と自己都合退職では、給付金の支給開始日が異なります。
会社都合で退職した場合、受給資格を得てから7日間の待機期間を経たあとに支給が開始されます。
一方正当な理由のない自己都合退職の場合、7日の待機期間に加え2か月の給付制限期間があります。
すなわち自己都合退職の場合、失業給付金の受け取り時期が遅れます。
ただし正当な理由で自己都合退職をした場合、扱いは会社都合で退職した方と同じです。
正当な自己都合退職の理由として代表的なものは、次のとおりです。
- 病気や怪我など心身の理由で仕事を続けられないため
- 妊娠、出産、育児と仕事との両立が難しいため
- 親の死亡、病気、怪我で家庭の状況が大きく変わったため
- 親族と別居しながら働くことが難しくなったため
- 通勤ができなくなったため
自己都合理由が正当なものに当たるかわからない場合、ハローワークに問い合わせましょう。
日数と基本手当の金額
給付金がもらえる日数も、退職理由で異なります。
会社都合退職の場合、給付期間は次のとおりです。
失業保険に加入していた期間 | ||||||
1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | ||
仕事を辞めたときの年齢 | 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
20年以上働いていた場合、最大で330日間も給付金を受け取れます。
自己都合退職の場合、給付期間は次のとおりです。
失業保険に加入していた期間 | ||
10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
90日 | 120日 | 150日 |
毎月受け取れる金額は、会社都合退職でも自己都合退職でも変わりません。
しかしもらえる期間が異なるため、合計で見ると会社都合退職の方が多く給付金を受け取れます。
支給条件
失業給付金の支給条件は、退職理由を問わず次の点で共通しています。
- 働ける能力があるのに仕事が見つからず失業している状態であること
- 離職の日以前の2年間で、失業保険に通算12か月以上加入していること
ただし会社都合退職の場合、離職の日以前の1年間のうち、通算6か月以上失業保険に加入していれば給付金を受け取れます。
会社都合退職で失業保険を受給できるケース
会社都合退職であれば、自己都合退職よりも手厚いサポートを受けられます。
しかしどういった状況が会社都合退職にあたるのか、わからない方は多いでしょう。
失業保険において、会社都合として失業手当を受給できるのは次のケースです。
- 通勤が困難になった
- 給与の未払い
- 給与の引き下げ
- 退職勧奨
- パワハラやセクハラ
自身の状況を見直し、失業保険をうまく活用しましょう。
業績悪化で退職
会社の業績悪化により会社が倒産したり、事業所が廃止されたりして退職した際は会社都合の退職となります。
倒産の場合は、ハローワークで会社が倒産手続きをしたとわかる書類を提示しましょう。
事業所廃止の場合は、事業所の解散が決定された会議の議事録を用意してみてください。
また会社が業務停止命令を受けたことで倒産が確実となった場合も、会社都合の退職です。
失業手当の支給を受けるためには業務停止命令を受けたことが確認できる資料が必要ですが、状況によっては資料が用意できないこともあるでしょう。
どのような資料が必要か、窓口で確認しましょう。
通勤が困難になった
事業所の移転により通勤が困難となり退職した場合も、会社都合として扱われます。
通勤にかかる時間がおおむね4時間以上であれば、客観的に通勤できないと判断されます。
事業所の移転を知らせる資料、通勤経路を示す資料を用意しましょう。
給与の未払い
賃金のうち3分の1以上が継続して2か月支払われなかった場合、直近6か月のうち3か月間賃金のうち3分の1以上が支払われなかった場合は、会社の責任となります。
給与の未払いが理由で退職した方は、ハローワークに相談しましょう。
また賃金の支払いが全額、支払日より遅れた場合も対象です。
労働契約書や賃金規定、給与明細書など給与の予定支払日と実際の支払日がわかるものを持参しましょう。
給与の引き下げ
給与が引き下げられたことで退職を選択した場合は、会社の都合となります。
賃金が85%未満に低下した際は、賃金規定、賃金低下に関する通知書を用意しましょう。
ただし賃金の低下が1年以上前に予見できた場合、出来高制で毎月の給与が変動する場合は対象となりません。
また欠勤して給与が低下した場合も対象外であるため、注意しましょう。
退職勧奨
退職勧奨とは退職して欲しい従業員がいた場合、会社側から該当の従業員に声をかけ自主退職するよう促すことです。
会社側から退職勧奨を受け退職した場合、自己都合退職であっても会社都合で失業手当を受け取れます。
退職勧奨は、間接的なものでも対象です。
しかし会社が恒常的に用意している早期退職優遇制度に申し込んで退職した場合は、自己都合退職として扱われます。
パワハラやセクハラ
上司や同僚からの嫌がらせ、ハラスメントで退職した場合も会社都合で失業手当を受け取れます。
ただしパワハラ、セクハラに該当するかどうかの判断を個人で下すのは難しいです。
またパワハラ、セクハラの事実を証明できるような資料をすぐに用意できない場合もあるでしょう。
退職をしても上司や同僚とのやり取り、日記やメモを残しておきましょう。
自己都合退職するように言われたときの対処法
企業向け助成金のなかには、会社都合での退職者を出さないことを条件にしているものがあります。
そのため実態は会社都合での退職でも、自己都合退職とするよう強要する企業は少なくありません。
自己都合で退職したくない場合、会社側と交渉をおこない会社都合の退職であると認めてもらう必要があります。
しかし会社との交渉がうまくいかず、結局自己都合退職となるケースもあるでしょう。
会社に自己都合として処理された場合でも、ハローワークに相談すれば会社都合と認めてくれる可能性があります。
ハローワークで会社都合の退職であると証明できる書類を提出しましょう。
書類が用意できない場合や会社とトラブルになった場合、弁護士に相談するとよいでしょう。
会社都合退職以外ですぐに失業保険が支給されるケース
会社都合以外でも、すぐに失業保険が支給されるケースがあります。
次のような理由で退職した場合、退職に正当な理由があると考えられます。
- 妊娠で自己都合退職
- 定年退職
- 特定理由離職者として退職
- 特定受給資格者として退職
それぞれの内容について、細かく見ていきましょう。
妊娠で自己都合退職
妊娠、出産で自己都合退職をした場合は正当な理由があったとみなされ、特定理由離職者となります。
特定理由離職者であれば、会社都合での退職と同様に失業手当金を受け取れます。
また妊娠、出産が退職理由となっている場合、退職後からすぐに次の職場で働けるわけではありません。
そのため雇用保険法第20条第1項に基づき、受給期間満了日を延長できます。
受給期間の満了日を延長すれば、失業手当を受け取れる期間がさらに伸びます。
本来の受給期間は1年ですが最大で3年まで伸ばせるため、早めに手続きしましょう。
定年退職
定年退職後も働きたい場合は、失業手当の受給が可能です。
いまの会社で働き続けることができないときは、そのまま離職して失業手当を受け取りながら次の職場を探しましょう。
定年退職による失業の場合、最大で2年間休養し、その後失業手当を受け取ることも可能です。
いずれ働くことを希望しているものの、一旦休養を取りたい場合は受給期間延長申請書をハローワークに提出しましょう。
特定理由離職者
妊娠、出産以外にも正当な理由で自己都合退職をしたと考えられる場合、会社都合と同様に失業手当を受け取れます。
正当な理由で退職した方は、特定理離職者となります。
特定理由離職者の例は、次のとおりです。
- 体力の不足や怪我、病気で働けなくなった方
- 親族の介護や看病のために仕事を辞めた方
- 配偶者や親族と離れて暮らせなくなった方
- 出勤が難しくなった方
保育所を利用するための離職も対象です。
また会社都合とならない範囲における希望退職者の募集で離職した方も失業保険を受け取れます。
自身がどのケースに該当するか判断できない場合は、ハローワークで相談しましょう。
特定受給資格者
特定受給資格者は、会社都合による退職を指します。
会社都合の退職であれば最短1週間程度で失業手当を受け取れます。
特定受給資格者に該当する場合は失業理由が証明できる資料を持ち、ハローワークへ行きましょう。
失業保険の会社都合退職のメリットとデメリット
会社都合退職で失業手当を受け取るメリットとデメリットは、次のとおりです。
- 【メリット】認定から支給のタイミングが早い
- 【デメリット】転職時に不利になる可能性がある
自己都合退職に比べ、会社都合退職は失業手当の給付期間において有利です。
しかし転職時のことを考え、自己都合退職を選択する方もいます。
メリットとデメリットを比較し、会社都合退職が本当に最適なのか確認しましょう。
【メリット】認定から支給のタイミングが早い
会社都合の退職であれば、受給資格決定日から7日後に失業手当が支給されます。
自己都合退職の場合と比べ支給タイミングが非常に早いため、生活の大きな助けとなるでしょう。
また年齢や失業保険の加入期間によって異なりますが、手当を受給できる期間も長いです。
より多く失業手当を受け取るなら、会社都合がおすすめです。
【デメリット】転職時に不利になる可能性がある
会社都合で退職した場合、転職の際に能力を疑われてしまう可能性があります。
一般的な会社では、優秀な人材を会社都合で解雇しません。
そのため会社都合で退職した方には何か大きな問題がある、と考える方もいます。
会社の倒産や事業所の廃止以外で会社都合退職した場合、転職先の方に納得してもらえる妥当な理由を話しましょう。
また失業手当を受け取れる期間が長くなることでブランクが生まれれば、転職時に不利になります。
受給期間が長くても、早めに転職活動を本格化させることが大切です。
失業保険の自己都合退職のメリットとデメリット
会社都合に比べ、自己都合退職は制度上不利と言われることも少なくありません。
自己都合退職のメリットとデメリットは、次のとおりです。
- 【メリット】転職時に不利になりにくい
- 【デメリット】給付制限期間がある
自己都合での退職にも、メリットはあります。
会社都合退職と比較し、どちらがいまの状況に適しているか確認しましょう。
【メリット】転職時に不利になりにくい
自己都合退職は会社都合退職と比べてごく一般的です。
そのため転職の際、マイナスに働くことはないでしょう。
ただし自己都合退職でも、転職先の方に納得してもらえる妥当な理由を話す必要はあります。
会社の残業が長かった、上司との相性が悪かったなどのネガティブな話は避け、前向きな転職であることを伝えましょう。
【デメリット】給付制限期間がある
自己都合退職では、失業手当をもらえる期間が短くなります。
また受給までに待機期間があるため、手当金受け取りまでの生活費は自身の貯金で賄わなければいけません。
貯金が少ない方にとっては、大きな負担となるでしょう。
しかし実態が自己都合退職であるにもかかわらず、会社都合退職として申請するのは避けてください。
不正な受給が明らかになれば受け取った手当金を返還しなければいけなくなるのみならず、返還額の2倍の額を納付しなければいけません。
今後の生活のため、自己都合退職であれば退職前にある程度お金を貯めておくとよいでしょう。
失業保険金を受給できる条件
失業保険金(失業手当)を受給するためには、次の条件を満たす必要があります。
- 解雇や転職で失業した
- 待機期間に賃金を得ていない
- 一定期間失業保険に加入している
- ハローワークに失業申請をしている
ここからは会社都合退職で給付金を受け取るケースを中心に、受給の条件を詳しく解説します。
給付金が受け取れない場合についてもあわせて紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
解雇や転職で失業した
まずは会社を退職し、失業している状態である必要があります。
失業保険は仕事のない方をサポートするものであるため、在職中である場合は手当金を受け取れません。
また失業保険金の受け取りには、就職する意思と能力があり積極的に次の仕事を探しているにもかかわらず、職に就けない状態であることも重要です。
就職の意思がない場合、自己都合であっても会社都合であっても失業保険金の受け取りはできません。
待機期間に賃金を得ていない
失業保険金受給までの待機期間中、少しでも賃金を得ていると失業保険金が受給できなくなります。
会社都合、自己都合問わず待機期間中はアルバイト、パートなどをしないようにしましょう。
一定期間失業保険に加入している
失業保険に加入している期間が短い場合は、失業保険金を受け取れません。
必要な加入期間は、次のとおりです。
離職の日までの2年間で雇用保険(失業保険)に通算12か月以上加入している
離職の日までの1年間で雇用保険(失業保険)に通算6か月以上加入している
退職理由によって必要な期間が異なるため注意しましょう。
自身がどのくらいの期間、失業保険に加入したかわからない場合はハローワークに問い合わせましょう。
ハローワークに失業申請をしている
失業の認定を受けるためには、ハローワークでの申請が必要です。
失業したあと自身でハローワークに行き、認定を受けましょう。
原則としてハローワークに行かない場合は、失業手当を受け取れません。
しかし次のようなやむを得ない事情によってハローワークに行けない場合、証明書の提出で認定を受けられます。
- 病気や怪我がある場合(15日以上行けない場合は対象外)
- ハローワークの紹介で面接に行っていた場合
- ハローワーク指定の公共職業訓練を受けていた場合
- 災害が起こった場合
やむを得ない事情でハローワークにいけなかった場合でも、後日来所する必要があります。
早く失業保険金を受け取るため、ハローワークには早めに行きましょう。
会社都合退職で受け取れる失業保険の計算方法
会社都合であればすぐに失業手当を受け取れます。
しかしどのくらいの期間、失業手当を受け取れるかよくわからないとお悩みの方もいるでしょう。
失業保険を受け取れる期間、受け取れる金額の合計を知りたい場合は次の手順で計算しましょう。
- 賃金日額を計算
- 基本手当日額を計算
- 支給総額を計算
今後の生活のため、もらえるお金を正しく把握してみてください。
1.賃金日額を計算
まずは金額のベースとなる賃金日額を計算します。
賃金日額は、次の計算方法で出した金額です。
退職前6か月の給与総額÷180
給与総額にボーナスは含まないため、注意しましょう。
2.基本手当日額を計算
実際に支給される1日あたりの金額(基本手当日額)は、次のように計算します。
賃金日額×45~80%
賃金日額にかける割合は、年齢や収入によって異なります。ハローワークで実際に確認しましょう。
基本手当日額には次のとおり上限があります。
30歳未満 | 6,835円 |
---|---|
30歳以上45歳未満 | 7,595円 |
45歳以上60歳未満 | 8,355円 |
60歳以上65歳未満 | 7,177円 |
計算の結果、基本手当日額が上限を超えた場合でも、支給されるのは上限までの金額です。
3.支給総額を計算
支給総額は、基本手当日額に支給日数をかけたものです。
支給日数は失業保険の加入期間、年齢によって異なります。
会社都合退職で失業保険を受け取るまでの手順
会社都合で失業保険を受け取るためには、次の手順で支給条件を満たす必要があります。
- 離職票やマイナンバーカードを用意
- ハローワークで書類を出して手続き
- 待期期間
- 雇用保険受給者説明会へ参加
- 再就職に向け求職活動をする
- 失業認定日にハローワークへ報告
必要な書類を提出していなかったり、指定の方法で求職活動をしていなかったりする場合、失業手当を受け取ることができなくなります。
スムーズに失業手当を受け取るため、ハローワークへ行く前に確認しましょう。
1.離職票やマイナンバーカードを用意
まずは申請に必要な次の書類を用意しましょう。
- 雇用保険被保険者離職票
- マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のうち1つ
- 身元確認書類
- 本人が写っている写真(縦3.0cm×横2.4cm)2枚
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
身元確認書類として有効なものは、いずれか1つです。
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- マイナンバーカード
- 官公署が発行した身分証明書または資格証明書(写真付き)
上記の書類がない場合、公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書などから2点提示すれば有効です。
2.ハローワークで書類を出して手続き
書類が揃ったら、最寄りのハローワークで申請しましょう。
退職した理由についても、ここで確認します。
会社都合での退職にもかかわらず自己都合にされている、とお悩みの場合は窓口で相談しましょう。
3.待期期間
会社都合でも自己都合でも、初回の雇用保険受給者説明会までは待機です。
待機期間中に働いてしまわないよう、注意しましょう。
4.雇用保険受給者説明会へ参加
指定された日時にハローワークで開催される雇用保険受給者説明会に参加します。
雇用保険受給資格者のしおり、筆記用具を持参しましょう。
初回の雇用保険受給者説明会では、雇用保険受給資格者証、失業認定申告書が受け取れます。
5.再就職に向け求職活動をする
失業手当を受け取り続けるためには、最低でも月2回の求職活動が必要です。
求職活動として認められるのは、基本的に次の行動です。
- 求人に応募する
- ハローワークが実施する職業紹介、職業相談、セミナー、講習会を受けた
- その他公的機関が実施する職業紹介、職業紹介、セミナー、講習会を受けた
- 再就職に役立つ資格試験を受験した
求人を閲覧しているのみでは実績として認められないため、注意しましょう。
6.失業認定日にハローワークへ報告
失業手当の受給が決定されて以降は、4週間に一度失業認定を受けます。
指定の失業認定日にハローワークへ行き、失業認定申告書に求職活動の状況を記入したうえで、雇用保険受給資格者証とあわせて提出します。
認定日にハローワークへ行かなかった場合、手当の支給が止まる可能性があります。
失業保険の受給中に収入を得る方法
失業保険は働けない方をサポートする制度であるため、受給中に働くのは原則としてNGです。
しかし手当金のみで生活するのは難しいため、働きたいと考える方は少なくありません。
失業保険を受け取りながら働くためのポイントは、次のとおりです。
- 待期期間中に働くのはNG
- ハローワークに申告が必須
- 働くのは週20時間未満までにする
注意点を把握し、手当金受給の条件を満たす範囲で働きましょう。
待期期間中に働くのはNG
離職票の提出、求職の申し込みをした日から7日間は、退職の理由を問わず待機期間とされます。
待機期間中、賃金を受け取ると失業保険金がもらえなくなるため注意しましょう。
失業保険の受給が決まってからであれば、時間に制限はありますが働けます。
待機期間中、お金がもらえず不安を感じる方は多いですが、働くのはもう少し待ちましょう。
ハローワークに申告が必須
失業手当の受給をしている間であっても、生活のため働くことは可能です。
しかし認められるのは仕事が内職または手伝いとされる場合のみです。就職したとみなされると、その時点で失業手当の支給は止まります。
また賃金を受け取った場合、直後の認定日に収入額を申告する必要があります。
認定日とは、失業している状態であることを確認してもらう日です。原則として4週間に一度、定められた日にハローワークへ行かなければいけません。
少しでも働いた場合は、認定日に得た収入を申告しましょう。
得た収入によっては、失業手当金が減額される可能性もあります。働きすぎには注意しましょう。
働くのは週20時間未満までにする
失業保険の受給期間中、働けるのは週20時間未満です。
20時間以上働くと就職したとみなされ、失業手当が止まります。
アルバイト・パートであっても20時間以上の勤務は避けましょう。
失業保険の会社都合退職に関してよくある質問
会社都合退職で失業保険を活用する際、よくある質問は次のとおりです。
- 会社都合退職だった場合の失業保険の日額は?
- 週に20時間未満しか働いていないと失業保険に加入できない?
- 失業保険の受給中でも扶養に入れる?
- 再就職したらお祝い金が支給される?
- 失業認定日にハローワークに行かないとどうなる?
- 失業保険を受給するときの注意点は?
スムーズに失業手当を受け取れるよう、事前にチェックしましょう。
会社都合退職だった場合の失業保険の日額は?
会社都合退職でも自己都合退職でも、受け取れる手当金の日額は変わりません。
しかし失業保険を受け取れる日数が異なるため、総額は会社都合の方が大きくなります。
週に20時間未満しか働いていないと失業保険に加入できない?
働いている時間が週に20時間未満の場合、失業保険に加入していない状態となります。
そのため会社都合で失業したとしても、失業手当は受け取れません。
失業保険に加入していたかよくわからない場合、ハローワークで確認しましょう。
失業保険の受給中でも扶養に入れる?
失業保険の受給中は基本手当日額が3,612円以上の場合、扶養に入れません。
ただし失業保険の受給が始まるまでの期間なら、扶養に入れます。
再就職したらお祝い金が支給される?
ハローワークを通じて再就職に成功した場合、再就職手当が受け取れます。
再就職手当の受給条件は、次のとおりです。
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合、支給残日数×70%×基本手当日額
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の場合、支給残日数×60%×基本手当日額
早い段階で就職に成功した方ほど、再就職手当を多く受け取れます。
また就職後、条件を満たせば就業促進定着手当も受け取れます。
就業促進定着手当の支給条件は、次のとおりです。
- 再就職手当の支給を受け、再就職先で6か月以上働いている
- 再就職先で受け取っている1日あたりの賃金が、失業手当給付前の1日あたりの賃金より低い
賃金が下がっていると感じる場合は、1日あたりの賃金を計算しハローワークで相談しましょう。
失業認定日にハローワークに行かないとどうなる?
認定日にハローワークに行けなかった場合、手当は支給されません。
病気や怪我など避けようのない理由でハローワークに行けない場合、事前に連絡しましょう。
ただし認定日に来られない理由を客観的に証明する書類が必要です。
失業保険を受給するときの注意点は?
失業保険を受給する際は、保険加入期間に注意しましょう。
一度失業手当を受け取ると失業保険加入期間がリセットされるため、次回失業した場合に手当を受け取れる期間が減ります。
しかし生活が苦しい状況であれば、失業手当金をもらうことに大きな意義があります。
仕事を失い、お金に困っている状況であれば失業保険金の受給を前向きに検討しましょう。
まとめ
今回は会社都合で失業手当をもらう場合の条件や自己都合退職と異なる点、受給の手順について解説しました。
会社都合での退職となれば失業手当の受給期間が長くなるうえ、支給のスピードも早くなります。
しかし転職の際に不利になる可能性があるため、場合によっては自己都合退職も検討しましょう。
失業手当をこれから受給するなら、必要な資料を用意してハローワークに相談しましょう。
求職活動をしなければ、手当が受給できません。
手当金があるからといって油断せず、自身に適した仕事を積極的に探す姿勢が大切です。