妊娠や出産を機に退職しようと考えいる方の中には失業保険がもらえるのか疑問を抱く方は多いでしょう。
失業保険の仕組みや受給対象者となる条件を理解していないと、予想外のトラブルが生じる可能性があります。
今回の記事では、失業保険をもらえる条件や妊娠を理由に退職する場合の対処法を解説します。
記事の後半では、失業保険の申請から受給方法まであわせて解説しています。
失業保険に関する情報を知りたい方や、妊娠を理由に会社を退職する予定がある方は、本記事をぜひ参考にしてみてください。
失業保険申請サポート「退職バンク」
- オンライン相談で全国対応
- 社労士による安心サポート
- LINEで受給想定額の無料診断実施中
利用条件 | ・現在の会社を退職前、または退職予定の方 ・現職、前職含めて雇用保険の加入期間が12か月以上の方 |
相談料 | 無料※ |
対応地域 | 全国 |
受給可能額 | 最大200万円 |
\最大200万円の失業保険を”最短1か月”で受給/
失業保険とは
まず、失業保険とはそもそもどのような制度なのかについて解説します。
失業保険とは、失業した方が安定した最低限の生活を送りつつ、できる限り早く再就職するための支援として給付される制度です。
新たな職業に就くまで経済的負担を最小限にする目的であり、仕事に就いていない方であれば誰でも受給可能な制度ではありません。
失業保険をもらえる条件や対象外の方などの詳細について紹介します。
失業保険をもらえる条件
失業保険は、離職日以前の2年間のうち12か月以上雇用保険に加入していた方が受給可能です。
たとえば、12か月以上勤めていない新入社員の方が退職した場合、失業保険は受給対象外となります。
そのため、残り数か月待てば失業保険の受給条件を満たす方の場合は、条件に達するまで仕事を継続する方もいるでしょう。
労働契約が更新を希望してもできなかった方や家庭の都合などによりやむを得ず退職した方の場合は、特定理由離職者に該当します。
また、会社の経営破綻や倒産による不可抗力で退職を余儀なくされた方の場合は、特定受給資格者とみなされます。
特定理由離職者と特定受給資格者の場合は、離職日より過去1年間に雇用保険に6か月以上加入している場合に失業保険の受給が可能です。
そのため、一般的な離職者と比較すると条件が緩和されます。
失業保険の対象外となる方
失業保険とは、労働の意思や能力を有するにもかかわらず職に就けない方の経済的な支援を目的とした制度です。
そのため、仕事探しや転職活動をおこなっていない方は、当然失業保険の対象外とみなされます。
また、一旦仕事を退職して大学や専門学校に入学して勉強をしたい方も対象外となります。
また、失業保険を受給している間に1日の受給額の80%以上を稼いだり、1週間に20時間以上のアルバイトをおこなったりした場合は失業中とみなされないため、失業保険の受給はできません。
あくまで働く医師や能力があるにもかかわらず職に就けていない方のための支援である点を、頭に入れておきましょう。
妊娠を理由に退職した方
妊娠を理由に退職した方の場合は、失業保険を受給できません。
先述したとおり、失業保険はあくまで働く意思と働く能力があるにもかかわらず職に就けていない方を支援する制度のためです。
妊娠した場合は、就職自体が難しい状況であり、産後すぐに就職できる状態ではありません。
そのため、妊婦は休職活動ができない状態とみなされ受給対象者から外れます。
しかし、妊娠した場合であっても、失業保険の延長申請をおこなえば失業保険の受給が可能です。
妊娠した方の失業保険の延長申請方法や手続きについては記事の後半で解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
退職後、専業主婦になるつもりの方
退職後に専業主婦になるつもりの方は、失業保険の給付対象外となります。
あくまで失業保険は労働意欲がある方を対象とした制度です。
専業主婦になる予定がある方は求職活動をおこなわないため、働く意思がないとみなされます。
あくまで出産後に再就職したい方のみ、失業保険の給付対象者としてみなされます。
自営業や自由業で働く方
自営業や自由業で働く方も、失業保険の給付対象外となります。
失業保険はあくまで雇用保険の基本手当であり、雇用された労働者の生活を支援するための制度です。
自営業や自由業は雇用される側ではないため、自身は雇用保険に加入できません。
そのため、万が一仕事を失った場合にも失業保険は対象外となります。
ただし、企業と雇用契約を締結しており、雇用保険に加入している方は失業保険の受給対象者となる場合もあります。
働いていたけれど、雇用保険に入っていなかった方
企業に雇用されて働いていたものの雇用保険に入っていなかった方は、失業保険の対象外です。
雇用保険の加入条件は、次のとおりです。2つを満たした場合に雇用保険が適用されます。
- 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること
・期間の定めがなく雇用される場合
・雇用期間が31日以上である場合
・雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
・雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合 - 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
パートやアルバイト、正社員などの雇用形態にかかわらず、雇用保険の加入条件を満たしていれば加入対象になり、事業者は要件を満たす従業員は必ず加入させなければなりません。
反対に、上記の2つの条件を満たしていない場合は雇用保険の加入条件を満たしていないため、失業保険の受給対象者から外れます。
現在の仕事を継続する方
現在の仕事を継続する方の場合は、失業保険対象外となります。
ただし、現在の仕事も続けながら他の仕事を探す場合は週20時間未満のアルバイトとして働く形であれば、失業認定の申請時に就業日数や労働時間を報告すると受給を認められます。
公務員だった方
公務員の場合は、退職しても失業保険を受け取れません。
公務員は雇用保険法第6条で雇用保険の適用対象外と定められており、失業保険の代わりに退職手当が支給されます。
ただし、公務員の場合も郵便局や国立大学に勤めていた方の場合は雇用保険の適用対象となるため、退職後に手続きをおこなうと失業保険を受給できます。
妊娠を理由に退職する場合の対処法
失業保険の基本知識について紹介したところで、次は妊娠を理由に退職する場合の対処法について紹介します。
すでに妊娠を理由に退職する予定がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
延長申請をする
妊娠を理由に退職する場合は、失業保険の受給対象外となるため、失業保険の受給期間を延長しましょう。
妊娠中の方は仕事に就ける状況ではないため、退職後すぐに再就職が可能な状況ではないと見なされます。
しかし、妊娠を理由に退職される場合は、本来1年以内に受給し終える必要がある失業保険の受給期間が延長可能です。
受給期間は4年間延ばせる
本来、失業保険の受給期間は、離職日の翌日より1年間です。
退職によって1年以上就業不可の状態が続いた場合は、失業保険の受給が無効となります。
しかし、妊娠を理由に退職する際の失業保険は、最長4年間延ばせます。
失業保険を延長する条件は、離職日の翌日より1年間のうち、出産や育児によって30日以上就業不可の期間が続くことです。
申請時の持ち物
妊娠を理由に退職する場合に失業保険の延長申請をおこなうには、次の書類の提出が必要です。
失業保険の延長申請前に必ずすべて用意しておきましょう。
- 受給期間延長申請書
- 雇用保険被保険者離職票(ー1、2)
- 延長の理由を証明する書類(母子手帳)
- マイナンバーカード、通知カード、個人番号が記載している住民票のいずれか
- 運転免許証、マイナンバーカードなど身元確認書類
- 印鑑
雇用保険被保険者離職票は、離職日から2週間程度で勤め先の会社より届きます。
しかし、勤務先の会社によっては希望を出さない限り離職票を交付しない場合もあるため、心配な方は退職前に離職票を郵送してほしい旨を伝えておきましょう。
すべての書類の準備が完了したら、ハローワークへ足を運んで申請しましょう。
母子手帳は必ず持っていく
失業保険の延長申請をする際は、必ず母子手帳を持参しましょう。
失業保険の延長申請理由が妊娠の場合は、延長理由を証明する書類として母子手帳が必要になるためです。
受給期間延長申請書はハローワークの窓口で受け取り可能ですが、ハローワークに行けない状況であれば郵送対応も受け付けています。
失業保険の申請の流れ
次に、失業保険の申請の流れについて紹介します。
失業保険は自己都合の場合と会社都合の場合で申請の流れやスケジュールが異なるため、自身に当てはまる方をぜひ参考にしてみてください。
自己都合の場合
まず、退職した会社から離職票をもらいます。
離職票の発行は会社によって時間を要する場合もあるため、退職する前に離職票の発行を依頼しておきましょう。
離職票が用意できたら、必要書類を用意してハローワークへ行き手続きを進めます。必要書類は下記のとおりです。
- 雇用保険被保険者離職票(-1、2)
- マイナンバーカード、通知カード、個人番号が記載している住民票のいずれか
- 運転免許証、マイナンバーカードなど身元確認書類
- 写真(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)2枚
- 本人名義の預金通帳もしくはキャッシュカード
- 印鑑
失業保険の受給資格が認められたら、初回説明会まで待機しましょう。待機期間は、アルバイトやパートなどの就業活動は不可のため注意しておきましょう。
受給説明会では、失業保険の受給の流れやハローワークの利用方法などの説明がおこなわれます。
説明会終了後は、次の認定日までに求職活動を開始しましょう。
失業保険が給付されている期間は、4週間に一度、失業状態である確認をするための認定日が設けられています。
失業が認定された場合は、約1週間後に失業保険が指定口座に振り込まれます。
退職理由が自己都合の場合、7日間の待機期間に追加して給付制限が最大3か月間あるため、初回の申請を開始してから失業保険は約2〜3か月半後に受給可能です。
会社都合の場合
会社都合で退職を余儀なくされた場合も、基本的な手続き方法は同じです。
しかし、失業保険の口座振込日が異なります。
失業保険の口座振込日に関しては、自己都合退職の場合は失業認定日より約3か月半後に失業保険が振り込まれるのに対して、会社都合退職の場合は7日間の待機期間が終了したら受給されます。
会社都合で退職した場合は給付制限期間がないため、失業保険が早く受給可能です。
失業保険を受給する方法
ここまで失業保険の申請方法の流れについて紹介しました。
ここでは、妊娠を理由に退職した際、失業保険の延長申請をしたあと、働ける状況になったときに失業保険を受給する方法について紹介します。
延長の申請を解約する際に必要な持ち物もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
失業保険の延長を解約する
出産後、求職活動がおこなえる状況になったら、失業保険の延長を解約しましょう。
失業保険の延長を解約する際に必要な持ち物について詳しく解説します。
失業保険の延長を解約する時の持ち物
失業保険の延長を解約する際の持ち物について紹介します。
失業保険の受給手続きをおこなわずに受給期間を延長した場合と、失業保険の受給中に延長手続きをおこなった場合で持ち物が変わるため、自身が当てはまる項目をしっかり確認しておきましょう。
失業保険の受給手続きを行わずに受給期間を延長した場合
失業保険の受給手続きをおこなわずに受給期間を延長した場合は、次の持ち物が必要です。
- 雇用保険被保険者離職票(-1、2)
- 受給期間延長通知書
- 写真2枚
- マイナンバーカード、通知カード、個人番号が記載している住民票のいずれか
- 運転免許証、マイナンバーカードなど身元確認書類
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 延長解除の事情が確認できる書類
- 本人の印鑑(認め印やスタンプ印以外)
妊娠が理由で失業保険の受給期間を延長した場合は、申請時と同じく母子手帳を持参しましょう。
失業保険の受給中に延長手続きをした場合
失業保険の受給中に延長手続きをおこなった場合は、次の持ち物が必要です。
- 雇用保険受給資格者証
- 受給期間延長通知書
- 延長解除の事情が確認できる書類
延長解除の事情が確認できる書類は、延長手続きをした際に持参した母子手帳を再度提示しましょう。
また、延長理由によっては上記以外に必要な書類が生じる可能性があるため、念のため事前にハローワークに問い合わせて持ち物の確認をすると安心です。
失業保険の受給の注意点
最後に、失業保険を受給する際の注意点について紹介します。
次の4つを把握していないと予期せぬトラブルが生じる可能性があるため、しっかりチェックしておきましょう。
失業給付は勤務年数で受給可能な日数が決まっている
失業保険の給付は、勤続年数によって受給可能な日数が異なります。
また、一般の離職者の場合と倒産や解雇によって離職を余儀なくされた方の場合で条件が異なります。
自身が次の表のどちらに該当するのかを確認して、受給可能な日数をあらかじめ把握しておきましょう。
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
65歳未満共通 | ー | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
被保険者期間 | |||||
離職日の満年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
受給期間延長の手続きは早く済ませる
失業保険の受給期間延長手続きは、できる限り早めに済ませましょう。
失業保険の受給期間は、退職日の翌日から30日が過ぎると申請可能となります。たとえば2023年3月31日が退職日の場合は2023年5月1日以降から申請が可能です。
延長後の受給期間の最後の日までであれば申請はできます。
しかし、申請期間内であっても、終了間際に延長した場合は所定給付日数のすべてを受給できないまま終える可能性があります。
そのため、受給期間延長の手続きはできる限り早めに済ませておくと安心です。
受給期間の延長期間中は1日も働いてはいけない
妊娠を理由に退職した場合は、出産前後の就業は禁止されています。
そのため、産前6週間と産後8週間は、いかなる理由があった場合も仕事に就けません。
法律によって禁止されているため、自宅でおこなう仕事の場合も認められません。
受給期間の延長期間中に内職をして稼ぎを作ろうと思われている方も多いですが、内職も制限されているため、注意しておきましょう。
すぐに失業保険が給付されるわけではない
妊娠を理由に退職した場合は、自己都合により退職のため、初回の受給までに最大3か月間の給付制限期間があります。
そのため、失業保険のみに頼ると金銭的な不安が生じる可能性が高いです。
妊娠中の収入に不安がある方は、育児休業給付金や出産手当金など、失業保険以外の支援制度も視野に入れるとよいでしょう。
まとめ
今回は、妊娠を理由に退職した場合に失業保険はもらえるのかについて紹介しました。
妊娠を理由に退職する場合は失業保険の受給対象外になりますが、延長申請をおこなえば就業可能な状態になった際に受給可能となります。
延長の申請をおこなう際は母子手帳を忘れずに持参しましょう。
後半では、失業保険の申請から受給までの流れについて紹介しました。
妊娠を理由に退職する予定がある方は、本記事をぜひ参考にしてみてください。