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失業保険受給条件の特定理由離職者とは?給付日数や書類について徹底解説

失業保険は、退職理由や年齢などの条件により90~360日間給付されます。

退職理由は大きく3種類に分類されており、区分のひとつが特定理由離職者です。

特定理由離職者は契約社員や派遣社員の雇い止め、正当な理由による退職などが該当します。

本記事では、特定理由離職者の具体的な退職理由や給付日数のほか、失業保険の申請に必要な書類や申請方法もあわせて解説します。

雇い止めや正当な理由で退職する方はぜひ参考にしてみてください。

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目次

特定理由離職者と認められる退職方法

失業保険(失業手当)が給付される日数は、退職理由により異なります。

退職理由ごとの分類は主に次の4種類です。

  1. 一般受給資格者
  2. 特定受給資格者
  3. 特定理由離職者1
  4. 特定理由離職者2

一般受給資格者は自己都合や懲戒解雇で離職、または定年退職を迎えた方が該当します。

特定受給資格者は会社都合によりやむを得ず失業した方を指し、主な理由は倒産や解雇です。

本記事で紹介する特定理由離職者は、雇い止めで退職した場合と正当な理由で退職した場合の2つの区分に分類されます。

一般受給資格者や特定受給資格者とは退職理由が異なるため、特定理由離職者と認められる退職方法を詳しく紹介します。

雇い止めによる退職

特定理由離職者1は雇い止めによる退職です。

雇い止めは主に、雇用期間が定められている契約社員や派遣社員などが該当します。

契約社員や派遣社員が契約更新を希望したにもかかわらず、会社側が契約を更新しないケースが雇い止めです。

ただし、すでに契約更新が確約されたあとに契約が更新されなかった場合は、会社都合の解雇となるため特定受給資格者に含まれます。

正当な理由での自己都合退職

特定理由離職者2は正当な理由での自己都合退職です。

一般受給資格者と異なる点は、退職理由が正当と認められるかどうかです。

会社や従業員とのトラブル、転職などが理由の場合は単なる自己都合のため、一般受給資格者に分類されます。

特定理由離職者2に該当する退職理由の例は次の通りです。

正当な退職理由の例

  • 妊娠、出産、育児のため
  • 病気やケガにより、退職して療養が必要である
  • 聴力や視力などの機能が衰え、仕事の継続が難しくなった
  • 家庭の事情により仕事の継続が難しくなった(家族の看護、介護など)
  • 配偶者との別居生活の継続が難しくなった(単身赴任、転勤など)
  • 通勤が難しくなった(結婚、育児、転居、公共交通機関の廃止や運行時間の変更、通勤が難しい土地への転勤など)
  • 会社側からの希望退職に応じた場合 など

自身の健康状態の変化や家族の介護、転居などにより、現在の仕事の継続が難しくなった場合は正当な理由の自己都合退職と認められます。

特定理由離職者と特定受給資格者の違い

特定理由離職者の退職理由は、特定受給資格者の退職理由とよく似ています。

しかし、特定受給資格者の最大の特徴は、会社都合による退職である点です。

自己都合と会社都合では失業保険を受給できる期間が異なるため、特定受給資格者の特徴を詳しく解説します。

次の退職理由を参考に、自身がどちらに該当するか確認してみてください。

会社が倒産した

会社の倒産による離職は、次のような状況で離職を申し出た場合や離職が確定した場合に該当します。

  • 会社が破産手続、再生手続、更生手続、整理、特別清算のいずれかを開始した
  • 会社に不渡手形が発生した
  • 会社に業務停止命令が発令されたことにより、倒産が確実となった
  • 事業縮小や人員整理に伴う雇用変動により、1か月に30人以上または雇用保険被保険者の3分の1以上が離職した
  • 事業所が廃止された
  • 事業所の移転により、通勤が難しくなった

また、再建型の倒産手続が開始された場合に、民事再生計画や会社更生計画が決定するまでの間に自身で離職を希望した方も特定受給資格者に含まれます

解雇

解雇は、会社都合により離職せざるを得なくなった場合を指します。

規則違反や犯罪行為など、自身の過失による懲戒解雇は自己都合退職に分類されるため、一般受給資格者です。

会社都合の解雇による離職は、次のような状況で離職した場合に該当します。

  • 自身に原因がなく、会社都合で解雇された
  • 労働契約で明示された労働条件とは異なる、または労働条件が変更されたために就職後1年以内に離職した
  • 賃金の3分の1以上が支払期日までに支払われない月が2か月以上続いた
  • 賃金の3分の1以上が支払期日までに支払われない月が、離職前6か月以内に3か月あった
  • 賃金が85%未満に低下した
  • 離職前6か月以内に、3か月間連続で45時間または1か月100時間、月平均80時間以上の時間外労働をおこなった
  • 行政機関より、従業員の健康や安全に対する指摘があったにもかかわらず、会社が必要な措置を講じなかった
  • 採用時とは異なる職種に転換され、賃金が低下した
  • 同一の職種に10年以上就いていた者が会社都合で職種転換され、十分な教育訓練が受けられずに適応できなかった
  • 労働契約で特定されていた勤務場所とは異なる地への転勤や出向により、通勤が難しくなった
  • 家庭の事情により転勤できない労働者に対して、遠隔地への転勤を命じた
  • 会社側から、直接または間接的に退職を勧められた
    ※早期退職優遇制度を除く
  • 会社都合による休業が3か月以上続いた
  • 事業所の業務が法令に違反した

労働契約時とは異なる労働条件や待遇により、仕事の継続が難しくなった場合は会社都合の解雇とみなされます。

会社都合による契約期間の不履行

会社都合による契約期間の不履行は、主に契約社員や派遣社員、アルバイト、パートなど、契約期間が定められている労働者に対して起こります

労働者が契約更新を希望しており、契約更新により3年以上契約が継続している場合や契約更新が明示されている場合に、会社都合で契約が更新されない場合は契約期間の不履行です。

ただし、労働者が契約更新を希望しても、会社から契約更新が確約されていない場合は正当な理由での自己都合退職となるため、特定理由離職者2に該当します。

また、労働者が契約更新を希望しない場合は一般受給資格者です。

会社都合による契約期間の不履行と判断されるポイントは次の3つです。

  • 労働者が契約更新を希望している
  • 労働契約を3年以上更新している、または契約更新が明示されている
  • 会社が契約を更新しなかった

契約期間が定められている方は、自身の離職理由が上記に該当するかどうか確認してみてください。

特定理由離職者が失業保険を受給するための条件

雇い止めや正当な理由により退職した特定理由離職者は、ハローワークの手続きにより失業保険を受給可能です。

ただし、失業保険を受給するためには条件を満たす必要があります。

失業保険の受給条件を3つ紹介します。

離職より1年以内に6か月以上の雇用保険に加入している

失業保険は、雇用保険加入者が受けられる支援のひとつです。

離職前1年以内に、雇用保険の加入期間が6か月以上経過している方が失業保険の受給対象です。

雇用保険は転職しても加入が継続されるため、加入期間は異なる勤務先でも継続されます。

失業中である

失業保険は、離職した方が再就職するまでの生活を支援する制度です。

ハローワークによる手続きでは、就業していないことを確認するための待期期間が設けられています。

待期期間の7日間はアルバイトやパートなどの雇用形態にかかわらず、職に就いてはいけません

また、再就職先が内定している方が虚偽の申告をした場合は不正受給となるため注意が必要です。

ハローワークで求職を申し込んでいる

失業保険の受給条件のひとつは、再就職の意思があることです。

病気やケガの療養、妊娠、出産、育児、家族の介護など、長期間就職できない場合は受給できません

特定理由離職者2の正当な退職理由と一部重複するため、受給できない場合があります。

また、再就職の意思があることを確認するために、ハローワークの紹介や自身で求職活動が必要です。

希望の職種や勤務形態などを記入した求職申し込み書を提出し、期日までに規定回数以上の求職活動をおこないます。

求職実績が認められると失業手当が支払われるため、再就職に向けて積極的に活動しましょう。

特定理由離職者のメリット

特定理由離職者として失業保険を受給する場合、いくつかのメリットがあります。

主なメリットを4つ紹介します。

一般離職者より条件が緩和

特定理由離職者は、自己都合で退職する一般受給資格者と比較すると、失業保険の受給条件が緩和されています。

一般受給資格者は、雇用保険の加入期間が離職前2年間で12か月以上必要です。

しかし、特定理由離職者は離職前1年間で6か月以上加入していれば失業保険を受給可能です。

勤務期間が短い方や以前の勤務先では雇用保険に加入していなかった方でも受給しやすい特徴があります。

国民健康保険料・住民税の軽減

国民健康保険や住民税などには、正当な理由により支払いが困難な場合に減免される制度があります。

会社の倒産や解雇による特定受給資格者、雇い止めや正当な理由により退職した特定理由離職者が減免対象です。

市区町村により詳しい条件や減免金額は異なりますが、国民健康保険が減免される一般的な条件は次の通りです。

国民健康保険の減免条件
  • 離職時点で65歳未満
  • 雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知がある
  • 特定受給資格者に該当する(離職理由コード11、12、21、22、31、32)
  • 特定理由離職者に該当する(離職理由コード23、33、34)

離職理由コードは雇用保険受給資格者証に記載されています。

減免後の保険料は、給与所得が30%に減少したとみなして算出されます。

また、住民税は失業した場合や前年より所得が減少する場合に減免可能です。

減免割合は市区町村により異なるため、確認してみてください。

3か月の給付制限期間が免除

自己都合で退職した一般受給資格者には、失業保険の申請から2か月間の給付制限期間があります。

給付制限期間は5年間で2回までは2か月ですが、3回目以降は3か月です。

給付制限期間は失業保険が受給できないため、貯蓄が不十分な方は生活が困窮する恐れがあります。

しかし、特定理由離職者には給付制限期間がありません。

失業保険を申請し、7日間の待期期間のみで次の手続きに進めるため、すぐに失業手当を受給できます

所定給付日数が増える

失業保険には給付日数が定められています。

受給できる日数は離職者の区分により異なり、各区分の給付日数は次の通りです。

離職者区分

A:一般受給資格者
B:特定受給資格者
C:特定理由離職者1(雇い止め)
D:特定理由離職者2(正当な退職理由)

雇用保険の加入期間
1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
A65歳未満90日120日150日
B、C29歳以下90日90日120日180日
30~34歳90日120日180日210日240日
35~44歳90日150日180日240日270日
45~59歳90日180日240日270日330日
60~64歳90日150日180日210日240日
D65歳未満90日120日150日
参考元:ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数

特定理由離職者(特定受給資格者)は雇用保険の加入期間に応じて年齢ごとに給付日数が増加します。

一般受給資格者と比較すると、失業手当を長い期間受給できるメリットがあります。

特定理由離職者のデメリット

特定理由離職者は一般受給資格者と比較するとメリットが多いですが、手続きに関してデメリットがあります。

特定理由離職者に考えられるデメリットを2つ紹介します。

ハローワークが認定するまで時間がかかる

特定理由離職者に限らず、失業保険の認定には時間がかかります。

失業認定を受けるまでの大まかな流れは次の通りです。

  1. 会社に発行を依頼した離職票が自身の手元に届く(約2週間)
  2. ハローワークに離職票と求職申し込み書を提出
  3. 待期期間(7日間)
    ※一般受給資格者は給付制限期間(2か月間)
  4. 雇用保険受給者説明会に参加
  5. 失業認定

初回の失業認定日は原則、申請日の翌月の同じ週型、曜日型と定められているため、実際に失業手当が支給されるまでには1か月以上かかる場合があります

特定理由離職者であっても、離職後すぐに失業手当を受け取れるわけではないことを頭に入れておきましょう。

提出書類が多い

失業保険の申請には、離職票や本人確認書類などが必要です。

とくに、特定理由離職者は正当な退職理由であると証明するための書類や、会社が用意する書類が別途必要になります

一般受給資格者と比較すると提出書類が多いため、すべて揃えて提出しましょう。

特定理由離職者の失業保険給付日数

特定理由離職者は、退職理由により失業保険の給付日数が異なります。

雇い止めで退職する場合と正当な理由で自己都合退職する場合の給付日数を詳しく解説します。

雇い止めによる退職の場合

雇い止めによる退職は、特定受給資格者と同等の給付が受けられます。

雇い止めによる特定理由離職者の給付日数
雇用保険の加入期間
1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
29歳以下90日90日120日180日
30~34歳90日120日180日210日240日
35~44歳90日150日180日240日270日
45~59歳90日180日240日270日330日
60~64歳90日150日180日210日240日
参考元:ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数

離職日が2009年3月31日~2025年3月31日に該当する特定理由離職者のみ、上記の給付日数が適用されます。

正当な理由での自己都合退職の場合

正当な理由で自己都合退職した場合、雇用保険に6か月以上加入していれば失業手当を受給可能です。

正当な退職理由による特定理由離職者の給付日数

雇用保険の加入期間
1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
65歳未満90日120日150日
参考元:ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数

基本の給付日数は一般受給資格者と同等ですが、雇用保険の加入期間の条件が緩和されているため、1年未満の方でも受給できるメリットがあります

特定理由離職者が失業保険を受給するまでの流れ

特定理由離職者が、会社を退職してから失業保険を受給するまでの流れを6つのステップにわけて解説します。

実際に失業手当が支給されるまでには時間がかかるため、スムーズに申請できるよう参考にしてみてください。

1:必要な書類を準備

失業保険の申請に必要な書類をすべて手元に用意します。本人確認書類や証明写真などは自身で準備しましょう。

ただし、離職票は会社に発行を依頼する必要があります

退職日の翌日以降に会社とハローワーク間で手続きをおこなうため、交付には退職日から2週間程度かかる場合があります。

2:ハローワークに求職の申し込み

失業保険は再就職の意思が認められなければ受給できないため、ハローワークで求職を申し込む必要があります。

求職者の基本情報や希望の職種、勤務地などを記入した求職申し込み書を作成しましょう。

ハローワークの公式サイトから求職申し込み書をダウンロードできるため、活用してみてください。

3:必要書類・受給申請を提出

離職票や求職申し込み書、本人確認書類などの必要書類をすべて揃えて、ハローワークの窓口に提出します。

担当職員から退職理由や求職の希望にまつわる質問があるため、すべて正直に回答しましょう。

虚偽の申告をした場合は不正受給となる恐れがあるため注意が必要です。

4:書類提出の7日間は待機期間

失業保険の申請後7日間は待期期間となり、雇用形態にかかわらず仕事ができません。

本当に就業していないかどうかを確認するための期間です。

待期期間中に仕事をした場合は再度7日間待機しなければならないため、スムーズに手続きを進めたい方は規則を守りましょう

5:雇用保険説明会へ参加

待期期間が7日間経過すると満了となり、次のステップへ進みます。

失業保険の申請から1~3週間後に開催される雇用保険説明会に参加すると、雇用保険受給資格者証が交付されます。

初回の失業認定日が決定するため、期日までに規定回数以上の求職活動をおこないましょう。

求職活動の規定回数
  • 初回認定日:待期期間満了日から初回認定日の前日までに1回以上
  • 2回目以降:前回の認定日から次の認定日までに2回以上

求職実績が認められなければ失業手当が支給されないため、積極的な求職活動が大切です。

6:給付開始決定の約1か月後に給付開始

失業保険では認定や待期期間などのさまざまな手続きがおこなわれるため、申請してから給付されるまでには約1か月かかります

2回目以降の失業手当は、初回の失業認定日から4週間おきに訪れる失業認定日に給付されます。

特定理由離職者本人が用意する書類

失業保険の申請に必要な書類のうち、自身で用意する書類は次の通りです。

離職票-1、2(会社が発行)

離職票は会社が発行する書類ですが、正確にはハローワークから交付される書類です。

離職票が交付されるまでの流れ

  1. 労働者(退職者)が会社に離職票の発行を依頼する
  2. 会社が発行した離職証明書に労働者(退職者)が署名する
  3. 会社からハローワーク宛てに離職証明書が提出される
  4. 離職証明書を基に離職票が交付される
  5. ハローワークから交付された離職票が会社宛てに送付される
  6. 会社から自身宛てに離職票が送付される

失業保険の申請に必要なため、紛失しないようきちんと保管しましょう。

また、就業期間が短い場合も離職票の提出が必要です。

複数の事業所から発行された離職票がある場合、必ずすべての離職票を提出してください。

マイナンバーカード

失業保険の申請には個人番号の確認が必要です。

マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票、住民票記載事項証明書のうちいずれか1種類を用意しましょう。

また、運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した写真付きの身分証明書、資格証明書のうちいずれか1種類も提示してください。

公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書などのうち異なる2種類の原本でも本人確認が可能です。

印鑑(実印)

提出書類に押印箇所がある場合、印鑑が必要です。必ず実印を手元に用意してください。

証明写真

失業保険申請の本人確認のために証明写真を提出します。写真の大きさは縦3.0cm×横2.4cmで、同一の写真が2枚必要です。

正面を向いた上半身が写るように撮影してください。

また、申請日の3か月以内に撮影した写真を用意しましょう。

本人名義の銀行通帳かキャッシュカード

失業手当を給付するために、申請者本人名義の銀行通帳またはキャッシュカードが必要です。

一部金融機関やインターネット銀行などは振込先に指定できないため、窓口に確認してみてください。

船員の方は船員保険失業保険証及び船員手帳

船員の失業給付も、通常の失業保険と同様の手続きをおこないます。

離職票、マイナンバーカード、本人確認書類、印鑑、証明写真、銀行通帳またはキャッシュカードとあわせて、船員保険失業保険証及び船員手帳が必要です。

特定理由離職者の申請で会社側が用意する書類

特定理由離職者を認定するためには、退職者が申請した退職理由と会社が提示した退職理由に相違がないかどうか確認する必要があります。

雇い止めによる退職、または正当な理由による退職の申請のために会社側が用意する書類を紹介します。

雇い止めによる退職の場合

雇い止めによる退職の場合、会社は労働契約書、雇入通知書、就業規則などの提出が必要です。

労働契約書

労働契約書は、会社が労働者を雇用する際に必要な書類です。

会社と労働者の双方が労働条件に同意した証拠として、署名、捺印し保管されています。

雇入通知書

雇入通知書は、労働者に対して会社が労働条件を明示する書類です。

業務内容や賃金などが明示されており、主に次のような事項が記載されています。

  • 雇用契約期間
  • 勤務形態:勤務場所、業務内容など
  • 就業規則:始業時刻、終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日、交替制勤務の交替規定など
  • 賃金規定:賃金の決定、支払い方法、支払い時期など
  • 退職規定:退職の申告時期、定年制度、退職金など

契約時に明示された労働条件と離職時の労働条件に相違がないか確認可能です。

就業規則

雇入通知書と同様に、契約時に会社側が明示した就業規則が記載された書類です。

退職理由が自己都合と会社都合のどちらに該当するか、公正に判断するための材料のひとつです。

正当な理由での自己都合退職の場合

正当な理由による自己都合退職では、退職理由を証明できる書類が必要です。

退職理由必要な書類
健康上の問題(病気やケガの療養、視力や聴力の減退など)医師の診断書
妊娠、出産、育児受給期間延長通知書
家庭の事情(家族の死亡、看護、介護など)所得税法第194条に基づく扶養控除等申告書、健康保険証、医師の診断書など
配偶者や扶養家族との別居生活の継続が困難となった転勤辞令、住民票の写し、所得税法第194条に基づく扶養控除等申告書、健康保険証など
結婚や育児により通勤が困難となった住民票の写し、保育園の入園許可書など
転居や通勤が難しい土地への転勤により通勤が困難となった事業所移転の通知、住居の強制立ち退きや天災の事実を証明する書類、転勤辞令など
公共交通機関の廃止や運行時間の変更により通勤が困難となった公共交通機関の廃止や運行時間の変更に係る書類
参考元:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準|厚生労働省

退職理由により必要な書類が異なるため、詳細は市区町村の担当窓口に問い合わせてみてください。

離職票がない場合はハローワークで発行が必要

会社から送付された離職票を紛失した場合は、ハローワークで再発行が可能です。

ただし、まだ発行されていない離職票は原則、ハローワークでは発行できません。

手元に離職票がない場合は、まずは退職した会社に発行を依頼してみてください。

また、発行された離職票の内容が事実と異なる場合には、ハローワークへの異議申し立てにより訂正できる可能性があります。

退職理由が正しく記載されていない場合は、ハローワークに問い合わせてみてください

特定理由離職者の基本手当日額

失業保険の基本手当日額は、退職前6か月の給与総額を180(30日×6か月)で割った賃金日額の45~80%です。

賃金日額の割合(45~80%)は年齢や賃金日額により変動します。

ただし、基本手当日額には上限が定められており、令和5年8月1日時点の上限金額は次の通りです。

離職時の年齢が29歳以下

離職時の年齢が29歳以下の場合の上限金額は6,945円です。

離職時の年齢が30歳から44歳

離職時の年齢が30歳から44歳の場合の上限金額は7,715円です。

離職時の年齢が45歳から59歳

離職時の年齢が45歳から59歳の場合の上限金額は8,490円です。

離職時の年齢が60歳から64歳

離職時の年齢が60歳から64歳の場合の上限金額は7,294円です。

特定理由離職者に関するよくある質問

失業保険の受給を希望する方のうち、特定理由離職者に関するよくある質問に回答します。

不正受給にならないかどうか心配な方や必要な書類が用意できない方は、ぜひ参考にしてみてください。

失業保険を不正受給した場合の罰則は?

失業保険を受給している間の仕事(収入)や求職活動は正しく申告しなければなりません。

失業保険の待期期間中に仕事をした場合や求職活動中のアルバイトを申告しなかった場合、求職活動に関する虚偽の報告をおこなった場合などは不正受給になる恐れがあります。

不正受給した場合、次のような罰則があります。

失業保険を不正受給した場合の罰則
  • 支給停止:不正行為があった日以降の給付が停止される
  • 返還命令:不正受給した金額をただちに変換する
  • 納付命令:不正受給した金額の最大2倍の金額を納付する
  • 差し押さえ:返還や納付に応じない場合は財産の差し押さえ
  • 刑事告発:詐欺罪で処罰される

不正受給にならないよう、必ずハローワークに申告してください。

特定理由離職者は助成金受給に影響がある?

会社は特定理由離職者がいると助成金を受給できない場合があります

しかし、特定理由離職者自身は、退職理由による助成金への影響はありません。

必要な書類を会社が提出しない場合どうなる?

会社には、労働者の依頼に応じて離職証明書を提出する義務があります。

しかし、ハローワークから交付された離職票を労働者に送付しないケースも確認されています。

会社が離職票を送付しない場合や必要な書類を提出しない場合には次の方法で対処してみてください。

  • 会社に再度、書類の用意を依頼する
  • ハローワークに相談する

ハローワークに相談した場合、会社への指導がおこなわれます。

また、離職票が手元に届く前に失業保険の仮手続きを進められる場合があります。

会社が依頼に応じてくれない場合は、ハローワークに相談してみてください。

まとめ

契約社員や派遣社員が雇い止めされた場合、または健康状態や家庭の事情などにより正当な退職理由と認められた場合には特定理由離職者に該当します。

特定理由離職者は一般受給資格者と比較して失業保険の給付日数が多く、国民健康保険や住民税が減免されるメリットがあります。

しかし、申請に必要な書類が多いため、スムーズに手続きが進められるよう本記事を参考に準備してみてください。

また、失業保険の受給中は申告なしに働くことができません。

不正受給には厳しい罰則が科されるため、規則を守って求職活動をおこないましょう。

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