失業保険は、失業中の生活や就職活動をサポートする手当です。雇用保険の被保険者期間が一定以上ある方が受給できます。
しかし失業保険がもらえる期間や受給開始時期は離職理由により異なるため、「失業保険をもらえる日数やいつからもらえるのかを知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、失業保険がもらえる期間や受給開始時期を離職理由ごとに解説します。
失業保険の計算方法や手続きの流れにも触れているため、失業中の求職活動に専念したい方や失業保険の手続きをスムーズにおこないたい方は、ぜひ参考にしてください。
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失業保険(基本手当)とは
一般的に失業保険や失業手当と呼ばれているのは、雇用保険の基本手当です。
受給条件を満たした方がハローワークで手続きをおこなうと、自身に適した金額の失業手当をもらえます。
「自身が受給条件を満たしているのか確認したい」と感じている方のために、まずは失業保険の概要や受給条件などを紹介します。
失業保険(基本手当)とは失業中に支給される手当のこと
失業保険は、失業中にハローワークで申請するともらえる手当です。失業保険の手続きをおこなえる期間は退職後1年以内です
失業手当が支給される日数やもらえるまでの期間などは、次により異なります。
- 離職時の年齢
- 退職した理由
- 雇用保険に被保険者として加入した期間など
失業保険をもらうと被保険者期間はリセットされるため、次にもらうにはまた再就職先で雇用保険に加入し、被保険者として一定期間以上働く必要があります。
一方で、失業保険の手続きをおこなわず退職後1年以内に再就職した場合は、前職の被保険者期間と再就職先での被保険者期間が合算されます。
被保険者期間が長いと失業保険をもらえる期間が長くなるため、手続きをおこなうタイミングは検討したいところです。
また、失業保険は失業中の方の生活や再就職をサポートする制度です。不正受給をおこなうと支給された失業手当の返納や罰則を課せらる恐れがあります。
条件を満たすと、失業保険をもらいながらアルバイトしたり、早期に再就職できた場合に再就職手当を受け取ったりすることも可能です。
アルバイトや再就職手当については、失業保険に関するよくある質問の「失業保険の受給中はアルバイトしてもよい?」で紹介するため、あわせて確認してください。
失業保険の受給条件
失業保険の受給条件は、おもに次の3つです。
- 失業状態にあり再就職する意思がある
- ハローワークに来所し求職する
- 離職日以前に被保険者期間が一定期間以上ある
受給条件の詳細をそれぞれ解説します。
失業状態にあり再就職する意思がある
一つ目の条件は、失業状態にあり再就職する意思があることです。失業保険は失業中の方の生活や再就職をサポートする制度だからです。
そのため、次の場合には再就職の意思があると認められない可能性があります。
- 専業主婦になりたい方
- しばらく働きたくない方
- 留学したい方など
「再就職の意思はあるが、次の理由で退職後すぐには働けない」状態の方も、失業保険をもらえません。
- 病気の療養中
- ケガの療養中
- 妊娠
- 出産
- 育児など
しかし、病気やケガなどやむを得ない事情がある場合には傷病手当が適用され、受給できる期間を最大4年延長できる可能性があります。
受給期間の延長手続きをおこなえるのは退職後1年以内のため、自宅の住所を管轄するハローワークで早めに申請しましょう。
また、失業中で再就職の意思がある65歳以上の方は、雇用保険の基本手当ではなく高年齢求職者給付金が適用されます。混同しないように注意しましょう。
ハローワークに来所し求職する
二つ目の条件は、ハローワークに来所し求職することです。
雇用保険にはインターネットで手続きできるものもありますが、基本手当の手続きはハローワークへ来所しておこなう必要があります。
また、手続きをおこなう以外にも失業認定日に来所したり、求職活動実績が一定以上なかったりする場合は、該当時期の失業手当をもらえない場合があります。
ハローワークの一部の求人情報はインターネットで閲覧できますが、ハローワークではすべての情報を閲覧できます。
ハローワークでは、自身の条件に適した求人の提案や就職に関するサポートなどがおこなわれているため、気軽に相談しましょう。
離職日以前に被保険者期間が一定期間以上ある
三つ目の条件は、離職日以前に雇用保険の被保険者期間が一定以上あることです。一般的に、過去2年以内に通算1年以上の被保険者期間が必要です。
しかし、離職理由が次の場合は例外に該当し、過去1年以内に6か月以上の被保険者期間があると失業保険をもらえる可能性があります。
- 会社が倒産した
- 会社から解雇された
- 出産や育児に専念するため退職した
- 事業所の移転により通勤が難しくなり退職した
- 期間の定めがある労働契約が更新されなかったなど
また、就職困難者も過去1年以内に6か月以上の被保険者期間があると、失業保険がもらえます。
就職困難者の場合は、失業保険をもらえる期間が自己都合退職と会社都合退職と設けられているため、詳細は「離職理由ごとの失業保険の給付期間・日数」の「就職困難者」を確認しましょう。
離職理由は退職後に会社から受け取る「雇用保険被保険者離職票」に記載されています。会社が記載している離職理由に納得できない場合は、ハローワークで相談してください。
離職理由ごとの失業保険の給付期間・日数
失業保険が給付される日数を、所定給付日数と呼びます。所定給付日数は、自己都合退職や会社都合退職など離職理由により異なります。
失業手当をもらいながら、求職活動に専念できるようにするためにも、自身の所定給付日数を把握しておきましょう。
自己都合退職
自己都合退職とは、家庭の事情やキャリアアップなど、一身上の都合により退職することです。
違反をしたり問題を起こしたりするなど自身に責任がある重大な理由で会社から解雇された場合は、自己都合退職に該当します。
自己都合退職の場合の所定給付日数は、被保険者期間により次のように異なります。
- 1年未満:90日※
- 1年~10年未満:90日
- 10年~20年未満:120日
- 20年以上:150日
※離職の日が2009年3月31日から令和7年3月31日までの間にある「特定理由離職者の範囲」の1に該当する特定理由離職者の場合
自己都合の場合の所定給付日数は、90日から150日間です。離職時の年齢による日数の違いはないため、会社都合退職の場合と混同しないように気を付けましょう。
会社都合退職
会社都合退職とは、会社の倒産や事業所の廃止など、会社の都合で退職することです。
会社都合退職には、特定受給資格者と特定理由離職者の2つがあります。特定受給資格者と特定理由離職者に該当するおもな例は、次の通りです。
特定受給資格者に該当する例 | 特定理由離職者に該当する例 |
---|---|
会社の倒産事業所の廃止事業所が移転(通勤困難の場合)解雇※など | 妊娠(延長措置済)出産(延長措置済)育児(延長措置済)結婚にともなう住所変更(通勤困難の場合) 配偶者の転勤(通勤困難の場合)など |
参照元:ハローワーク
会社都合退職の場合の所定給付日数は、離職時の年齢や被保険者期間により次のように異なります。
1年未満 | 1年~5年未満 | 5年~10年未満 | 10年~20年未満 | 20年以上 | |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | – | |
30歳~35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳~45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳~60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳~65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
被保険者期間が1年以内の場合は、離職時の年齢を問わず所定給付日数が90日間です。会社都合の場合は、最長で330日間の基本手当をもらえます。
就職困難者
就職困難者の所定給付日数は、自己都合退職や会社都合退職とは別に設けられています。なぜなら、就職が難しい場合に備えるためです。
就職困難者に該当する方は、次の通りです。
- 身体障がい者
- 知的障がい者
- 精神障がい者
- 刑法等の規定により保護観察に付された方
- 社会的事情により就職が著しく阻害されている方など
就職困難者の所定給付日数は、被保険者期間と離職時の年齢により次のように異なります。
1年未満 | 1年~20年以上 | |
---|---|---|
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳~65歳未満 | 360日 |
失業保険の受給開始時期は、離職理由が自己都合であるか会社都合であるかにより異なります。
失業保険をいつからもらえるか知りたい方は、次の「離職理由ごとの失業保険の受給開始時期」を確認しておきましょう。
離職理由ごとの失業保険の受給開始時期
失業保険の受給開始となる時期は、離職理由により異なります。一般的に会社都合退職の方が、自己都合退職の場合よりも早めに失業保険をもらえます。
失業中の求職か都合を安心しておこなうためにも、自身が失業保険をもらえるまでの期間を把握してから手続きをおこないましょう。
自己都合退職
自己都合退職の場合は、失業保険をもらうまでに7日+2か月程度かかります。
なぜなら、自己都合退職の場合は、失業保険の手続き後に7日間の待機期間と2か月の給付制限期間が設けられているからです。
待機期間中とは、ハローワークが失業保険の申請者が失業の状態であるか確認したり、失業保険の手続きを完了させたりするための期間です。
給付制限期間は2か月間が原則ですが、過去5年以内に3回以上自己都合で退職している方は3か月になる場合があります。
自身の給付制限期間が2か月になるか3か月になるか判断が難しい場合は、ハローワークへ相談しましょう。
会社都合退職
会社都合退職の場合は、7日間の待期期間後に失業保険の手続きが完了すると8日目以降は失業手当がもらえます。
しかし、失業保険をもらうために雇用保険受給者初回説明会に参加したり、失業認定日に来所したりする必要があるため、失業保険が振り込まれるまでに1か月程度かかります。
雇用保険受給者初回説明会の参加後に雇用保険受給資格者証を渡され、1回目の失業認定日の日時を案内されるため、忘れずに参加しましょう。
失業保険の計算方法
失業保険を受給できる日数や期間は一人一人異なります。そのため、自身がどのくらいもらえるのかを把握しておく必要があります。
手続き後に支給される基本手当の総額や毎月の金額は、次の4ステップで計算が可能です。
- 賃金日額を算出する
- 賃金日額から基本手当日額を算出する
- 基本手当の総額を算出する
- 毎月の基本手当額を算出する
計算する際のポイントや注意点などもあわせて、上から順に解説します。
1:賃金日額を算出する
賃金日額とは、過去6か月間に会社から支払われた一日あたりの平均賃金です。過去6か月間の賃金の合計を180で割ると計算できます。
賃金日額には上限金額と下限金額が設けられています。賃金日額の上限金額は次の通りです。
離職時の年齢 | 賃金日額の上限金額 |
---|---|
30歳未満 | 13,890円 |
30歳~45歳未満 | 15,430円 |
45歳~60歳未満 | 16,980円 |
60歳~65歳未満 | 16,210円 |
※参照元:厚生労働省 都道府県労働局・ハローワーク
また、賃金日額には下限金額も設けられています。賃金日額の下限金額は、離職時の年齢を問わず2,196円です。
次は、賃金日額から失業保険でもらえる一日分の基本手当を計算します。
2:賃金日額から基本手当日額を算出する
失業保険でもらえる一日分の基本手当の金額を、基本手当日額と呼びます。基本手当日額は、自身の賃金日額×給付率で計算できます。
給付率は賃金日額により異なるため、下表を参考にしてください。
賃金日額 | 給付率 |
---|---|
2,746円~5,110円未満 | 80% |
5,110円~12,580円以下 | 80~50%※1 |
12,580円~13,890円以下 | 50%※2 |
13,890円以上 | 基本手当日額の上金額が適用される |
※1:60歳~65歳未満の方は80~15%
※2:60歳~65歳未満の方は45%
※参照元:厚生労働省 都道府県労働局・ハローワーク
また、基本手当日額、次のように上限金額が設けられています。
離職時の年齢 | 基本手当日額の上限金額 |
---|---|
30歳未満 | 6,945円 |
30歳~45歳未満 | 7,715円 |
45歳~60歳未満 | 8,490円 |
60歳~65歳未満 | 7,294円 |
※参照元:厚生労働省 都道府県労働局・ハローワーク
基本手当の総額や毎月の金額は、基本手当日額を元に計算します。
総額の計算をしたい方は「3:基本手当の総額を算出する」を、毎月の基本手当額を計算したい方は「4:毎月の基本手当額を算出する」を確認しましょう。
3:基本手当の総額を算出する
基本手当の総額は、自身の基本手当日額×所定給付日数で計算できます。
基本手当日額が3,612円以上の場合は、配偶者や家族の扶養に入れない可能性があります。なぜなら、加入後一年間の収入が130万円以上の方は扶養に入れないからです。
配偶者や家族の扶養に加入している方や扶養に入るか検討している方は、失業保険の手続きをおこなう前に総額を確認しておきましょう。
また「早めに再就職すると、基本手当をもらえる金額が少なくなる」と感じる方もいますが、所定給付日数を残して再就職すると再就職手当を受け取れる場合があります。
再就職手当の受給条件は、次の通りです。
- 待期期間後に就職した
- 待期期間後の給付制限期間中にハローワークの紹介で就職した
- 就職日直近の失業認定日後に所定給付日数の残りが3分の1以上ある
- 再就職先で一年以上の勤務が見込まれる
- 離職した会社への再就職ではない
- 再就職先で雇用保険の被保険者になる
- 過去3年以内に再就職手当を受給していないなど
基本手当の残りの所定給付日数により、再就職手当の給付率は異なるため、詳細はハローワークで確認しておきましょう。
4:毎月の基本手当額を算出する
毎月の基本手当額は原則として「基本手当日額×28日」で計算します。なぜなら、四週間に一度の失業認定後に基本手当が振り込まれるからです。
失業中の求職活動に専念するためにも、失業保険でもらえる目安金額を把握しておきましょう。
失業保険の手続きの流れ
失業保険の手続きをスムーズに行うためにも、手続きの流れを把握しておくとよいでしょう。失業保険の手続きの流れは、次の通りです。
- 申し込みに必要なものを用意する
- 管轄のハローワークで申し込む
- 雇用保険受給者初回説明会に参加する
- 失業の認定を受ける
- 基本手当の受給開始
手続きごとのポイントや注意点などもあわせて解説します。
1:申し込みに必要なものを用意する
まずは、失業保険の申し込みに必要なものを用意しましょう。手続きに必要なものは、おもに次の6点です。
- シャチハタではない印鑑
- 縦3.0cm×横2.5cmの証明写真2枚
- 身元確認書類
- 個人番号確認書類
- 雇用保険被保険者離職票
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
個人番号確認書類や身元確認書類の具体例は、次を参考にしてください。
個人番号確認書類の例 | 身元確認書類の例 |
---|---|
住民票 通知カードマイナンバーカードなど | 運転免許証マイナンバーカードなど |
雇用保険被保険者離職票は、一般的に離職票と呼ばれるものです。退職した会社から郵送もしくは直接受け取ります。
雇用保険被保険者離職票の発行に2週間程度かかる場合もあるため、早めに手続きをおこないましょう。
2:管轄のハローワークで申し込む
失業保険の手続きは、居住地を管轄するハローワークでおこないます。手続きに必要なものを用意したら、ハローワークへ来所しましょう。
失業保険の申し込みをおこなうと、提出した書類を元に失業保険の受給条件を満たしているか確認されます。
受給条件や受給資格を確認ができたら、7日間の待期期間を終えた後に開催される雇用保険受給者初回説明会の日時が案内されます。
ハローワークから「雇用保険受給資格者のしおり」も渡されるため、雇用保険受給者初回説明会に参加する際は忘れずに持参しましょう。
3:雇用保険受給者初回説明会に参加する
雇用保険受給者初回説明会とは、これから失業保険を受給する方を対象に失業保険の制度や受給に関する重要事項などの説明を受けられる説明会です。
雇用保険受給者初回説明会への参加は必須ですが、参加すると一回分の求職活動実績にカウントされます。
また、雇用保険受給者初回説明会に参加すると、失業保険の受給資格を証明する雇用保険受給資格者証と失業認定日に提出する失業認定申告書が渡されます。
初回の失業保険の認定日の日時も案内されるため、分かりやすいように管理しておきましょう。
4:失業の認定を受ける
雇用保険受給者初回説明会へ参加した後は、初回の失業認定を受けます。初回の失業認定までに必要な求職活動実績は次の通りです。
- 会社都合退職の場合:雇用保険受給者初回説明回後の一回以上
- 自己都合退職の場合:給付制限後すぐの失業認定までに三回以上
失業認定日に来所しなかったり、認定を受ける時間後に事前連絡なしで来所したりすると、該当期間の失業保険が支給されなくなります。
次のような事情がありハローワークへ来所できない場合は、事前に相談すると認定日の日程を変更できる可能性があるため、早めに相談しましょう。
- 就職先が決まった
- 就労先が決まった
- 就職のための面接を受ける
- 採用試験を受ける
- 国家試験や検定などの資格試験を受ける
- 親族の看護
- 親族の葬式や法事
- 本人が結婚式を挙げる
- 親族の結婚式へ参加する
- 14日以内で治る病気やケガをしたなど
子どもの発熱や交通状況など、急に来所が難しくなった場合や来所時間が送れる場合は、早めにハローワークへ連絡し、指示を仰ぐようにしてください。
5:基本手当の受給開始
失業認定日にハローワークへ来所し、失業の認定を受けると5営業日程度で指定の口座に基本手当が振り込まれます。
また、失業認定は四週間に一度の頻度で設けられているため、失業保険をもらうためにも必ず来所しましょう。
2回目以降は失業認定日から次回の失業認定日までの期間に原則2回以上の求職活動実績が必要です。
就職困難者の場合は、前回の失業認定日から次回の失業認定日までの期間に原則1回以上の求職活動実績があれば失業保険がもらえるため、混同しないように気をつけましょう。
備考ですが、失業期間中に次のようなことをおこなうと、不正受給にみなされる恐れがあります。
- していない求職活動実績を申告する
- アルバイトをしていることを隠している
- 再就職先が決まったが申告していない
- 自営業を開始したことを隠しているなど
不正受給に見なされると支払われた失業保険の返納を求められたり、支払われた金額の約2倍の金額を納付するように指示されたりする恐れがあるため、真実のみを申告しましょう。
失業保険に関するよくある質問
失業保険に関するよくある6つの質問に回答します。
失業保険受給中にアルバイトができる条件や公務員の方が失業保険を受給できるかなどにも触れています。
事前に把握しておくと手続きをおこないやすくなるため、あわせて確認しておきましょう。
失業保険の受給中はアルバイトしてもよい?
失業保険の受給中にもアルバイトができます。しかし、次の条件を満たすと雇用保険の加入が必要になるため、失業保険をもらえなくなる可能性があります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 同じ事業主に31日以上雇用される見込みであるなど
待機期間中は「働ける能力があるが働いていない状態」である必要があるため、待期期間中のアルバイト開始はおすすめできません。
また、失業認定日には、前回の失業認定日から当日までのアルバイトや内職など労働に対する賃金の発生の有無が確認されます。
アルバイトをしていることを隠すと不正受給をしていると判断される恐れがあるため、気を付けましょう。
失業保険を不正受給するとどうなる?
失業保険を不正受給すると、支給された基本手当の返還と、支給された基本手当の約2倍の納付を求められます。
失業保険をもらうために、次の行為を隠すと不正受給にみなされる恐れがあるため気を付けましょう。
- 就職した
- アルバイトした
- 年金の受給
- 健康保険の傷病手当金の受給
- 労災保険の受給
- 病気やケガなどで働けない状態になったなど
不正受給による基本手当の返還や罰則金の納付を命じられないようにするためにも、誠実な申告をこころがけましょう。
失業保険を受給中に扶養に入れる?
失業保険の受給中に、配偶者や家族の扶養に入ることは可能です。しかし、扶養に入るためには次の条件を満たす必要があります。
- 扶養に入った後一年間の収入が130万円未満(基本手当を含む)
- 基本手当日額が3,612円未満
上記の条件を満たしていない場合は健康保険への加入が必要になります。
扶養に入る以外の選択肢を知りたい方は「失業手当の受給中は健康保険や年金の支払いはどうなる?」をあわせて確認してください。
病気やケガなどですぐに就職できない場合でも受給できる?
病気やケガなどのやむをえない事情があり、退職後すぐに働けない場合は受給の手続きをおこなえる期間を最長4年間延長できます。
受給期間の延長手続きをおこなえる期間は、退職後一年以内です。受給延長手続きをおこなう場合は、早めにハローワークへ来所して手続きを完了させましょう。
また、働ける状態に回復し再就職先を探す際は、失業保険の手続きに必要なものと受給期間延長通知書などを持参すると、失業保険の申請ができます。
母子手帳や医師の診断書など受給期間の延長理由がなくなったことを確認できる書類も提出が必要のため、忘れずにしましょう。
失業手当の受給中は健康保険や年金の支払いはどうなる?
失業手当の受給中の健康保険の支払い方法は、3種類あります。
- 配偶者や家族などの扶養に入る
- 退職前に加入していた健康保険の任意継続制度を利用する
- 国民健康保険へ加入する
配偶者や家族などの扶養に入るためには、加入後1年間の収入が130万未満の場合のみです。
130万円以上が見込まれる場合は、健康保険の任意継続制度や国民健康保険に加入する必要があります。
健康保険の任意継続制度を利用すると、支払う金額が国民健康保険よりも安くなります。
しかし、利用できる期間は退職後2年間と限られているため、自身に適した健康保険に加入しましょう。
また、退職後は国民年金に加入するため、国民年金の保険料を支払う必要があります。
市町村が運営する役所や年金事務所で手続きをおこなうと、失業中の国民年金の支払いを全額免除もしくは一部免除を受けられる場合があります。
自身が対象になるかどうか分からない場合は、ぜひ年金事務所や役所などでご相談ください。
公務員も失業手当を受給できる?
公務員の方は、失業手当を受給できません。なぜなら、公務員の方は雇用保険に加入できないからです。
しかし、公務員の方は次の条件を満たすことで、退職手当を受け取れます。
- 勤続期間が1年以上
- 待期日数を超えて失業している※
- 退職日の翌日から起算して1年の期間内に失業している
- 退職手当の額が雇用保険法の失業給付の相当額に満たない
※待機日数とは、退職時に支給された退職手当を基本手当に相当する退職手当の先渡しとみなして、基本手当相当額の何日分に当たるかを計算した日数のこと。
例外として、雇用保険法が適用される事業所で勤務していた公務員の方は、退職後に失業保険を受給できる可能性があります。
退職手当の受給条件を満たしていなくても、失業保険と退職手当の差額を受け取れる場合があるため、受給の可否についてはハローワークで相談しましょう。
まとめ
失業保険がもらえる日数は離職理由により異なりますが、90日から330日程度です。
失業保険の手続きをおこなうと7日間の待期期間があり、自己都合退職の場合は2か月間の給付制限期間があります。
ただ失業保険をもらうためには、雇用保険受給者資格初回説明会への参加や失業の認定を受けたりする必要があります。スムーズに失業保険を受け取るためにも積極的に求職活動をおこないましょう。
また早期に就職先が決まると利用できる再就職手当や、失業中の国民年金保険料の支払いが全額もしくは一部免除される制度などもあります。
失業中の求職活動に専念するためにも、利用できる制度をぜひご活用ください。
※本記事の情報は2023年8月時点のものです。
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